【撮影レポート】『桃太郎殺人事件』

オトギショートフィルムズ、最後の撮影となる『桃太郎殺人事件』。

今回は同作品の脚本メンバーの一人である花苑が撮影現場の様子をレポートします。オトギショートフィルムズの撮影に参加するのは今回が初めて。「撮影」といっても、カメラを回す以外にどんなことをするのでしょうか。早速、見てみましょう!


撮影は11/13に行われました。今回は自然光を生かしてモノクロによる仕上げとのこと。しかし、冬至まであと1ヶ月程というこの季節、太陽の出ている時間はとても短い……! そこで前日のうちに現場入りしてセッティングを行いました。


カメラや照明の位置に配慮して机を動かし、小道具を設置! 人が長年住んだ生活感がどうやったら出るか頭を悩ませながら監督と一緒に配置していきました。

そして『桃太郎殺人事件』では重要なアイテムとなる数々のお酒……。写真に映るこのお酒、本物に見えるでしょうか。

実はこちらの中身はもちろん本物のお酒ではありません。本編ではこの偽酒を飲む後藤ひろみさんの演技にもご注目ください。


全編モノクロ仕上げの『桃太郎殺人事件』では、カラーよりも陰影が際立つため光の調整が重要となります。当日は台所に光が射すまで撮影を待ちました。

そして、タイミングを見計らい、撮影!


勝手口の窓から射し込んだ光が台所の酒瓶やグラスに当たり、光の反射と人物のシルエットのコントラストが美しい映像になりました。光を作るのも、映像を作る上で大事な工程なんだと実感した瞬間でした。

みなさんにも今すぐこの映像をお見せしたいところですが……こちらはぜひ本編でお楽しみください! とっても素敵な映像に仕上がってますよ~。


ところで、映画の撮影といえば「カチンコ」ですよね。そうです。撮影の始まりに監督の「よ~い!」の合図でカチンと鳴らすアレです。カチンコっていったい何のためにあるのでしょうか?

一つは、今撮影している映像がどのシーンであるか記録するためだそうです。

これは上の写真を見ていただくとイメージできると思います。シーンナンバーやテイク数がカチンコに書かれていますね。


もう一つは映像と音のタイミングが編集でずれないようにするため。

映画は映像と音声を別々に録ります。そうすると、そのままでは編集するときに映像と音声をどのタイミングで合わせたらいいのかわかりません。しかし、映像のカチンとするタイミングと「カチン」の音声を合わせれば、映像と音がぴったり合うんですって。

カチンコの動き一つに映画制作をスムーズに行うノウハウがつまってるんですね!


カチンコを扱う人は、カメラに入るのがどの範囲か、カメラが回ったらどこに退避すれば映りこまないかをきっちり考えながら動かなければなりません。シーンによっては逃げ場が狭く、役者さんたちの側で身動き一つしないで待機しなければならないことも。結構、責任重大なのです。


撮影中は感情がぶつかり合う激しい演技もしばしば。髪やメイクの乱れを発見するとメイクさんが飛んできます。

撮影は長丁場。普通だったら髪型も崩れてきます。しかし、映画のなかの経過時間はほんの数分。時間の経過を感じさせないのはメイクさんの大事な仕事なんですね。


緊張感が続くシーンの撮影が終わり、オフショット! 出演いただいた後藤ひろみさんと磯貝誠さんに撮影の時とは違うリラックスした表情を見せていただきました。

カメラリハ、本番と回を重ねるごとにお二人がその役になっていく姿が印象的でした。

線画だった人物に色が塗られていくように人物像が立体的に浮かび上がってくるのです。


無事、日没までに撮影を終えて撤収。

ノワールな雰囲気が漂う『桃太郎殺人事件』ですが、その内容とは打って変わってみなさんの優しさ、穏やかさに終始包まれた撮影となりました。


これでオトギショートフィルムズの全撮影が終了しました。

みなさんへお届けできる日が今から待ち遠しいです!


▼『桃太郎殺人事件』の作品ページはこちら!

https://otogi-conversations.themedia.jp/pages/5532154/momotaro

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